放課後のハイスト
塾なしで東大生になった!生活習慣が勉強を成功に導く理由

塾なしで東大生になった!生活習慣が勉強を成功に導く理由

投稿日: 2025年11月24日
最終更新日: 2025年11月24日
えんざんえんざん

はじめに:勉強法を探す前に毎日を見直そう

「勉強をしているはずなのに成果が出ない...」 そう感じたことがある人は少なくないと思います。授業中に眠くなってしまったり、家で机に向かってもなかなか集中できなかったり。

勉強をしているはずなのに成果が出ない

もしかすると、その悩みは 「勉強方法を探す以前に見直すべきことがあるサイン」 なのかもしれません。

私は愛知県の普通の公立中学から、中学校3年生の時を除いて塾に通わず、岡崎高校、そして東大に現役合格しました。「どんな勉強をしたらそんなことができるのか?」としばしば聞かれるのですが、聞いて驚くようないわゆる 「天才的な勉強法」をしていたわけではありません。

むしろ、特別な勉強法のような方法論ではなく、自分の生活にフォーカスを当て、「勉強が継続しやすくなる」環境を作ることのほうがずっと大事だと考えて実践していました。

集中できる時間を増やし、勉強が自然と続くようになっていく。塾がなくても実践できる 「勉強が続く考え方・生活習慣」 について紹介します。真っ先に勉強の方法論に飛びつく前に、土台部分を見直してみることを優先してみてはいかがでしょうか?

あくまで一例にはなりますが、私自身が何を意識して普段の生活をしていたのかも盛り込んでいくので、少しでも自身のことを考えてみるきっかけになればと思います。

速くではなく、遠くへ ― 勉強を続けられる力に変える考え方

まずは考えてみてください。

あなたは画期的でとても効率のいい方法で勉強をしました。しかし、休息を取らず2日連続徹夜を続け、眠気で意識を失いそうな状態でテスト受けました。果たして、その状態でベストな結果が出るのでしょうか?また、次回のテストも同じやり方で臨むとしたらどうでしょう?

極端な例とはいえ、答えは明白だと思います。
まず大事なのは 「持続可能な努力ができるほうが長期的に見た時に遠くへ行ける」 という考え方が重要だと考えます。ここから紹介することも、元を辿るとこの考え方に行き着きます。

受験に限らず、何かの目標を立ててその達成を目指すことは長距離走に似ています。
前述のように、無茶なペースで短距離走を繰り返す方法では、すぐに息が上がってペースが落ちてしまうほか、体に過度な負担をかけてしまい、最悪の場合長期間動けなくなることも考えられます。

受験に限らず、何かの目標を立ててその達成を目指すことは長距離走に似ている

そんな走り方よりも、止まることなく長い距離を走り続けられるペースを継続するほうが長期的にはずっと遠くへいけるのではないでしょうか。時には多少の無茶が必要な時があるかもしれませんが毎回繰り返していては体が保ちません。

どんなに能力がある人でも、努力できない状態になってしまえば結果を残すことはできません。長期戦である以上、努力できる状態を保つことが重要です。

睡眠・運動・食事 ― 努力が続く人の3つの習慣

「体は資本」と言う言葉がありますが、努力し続けられる状態を作るために生活習慣を整えることはとても重要です。一度は聞いたことのあることだと思いますが、案外こういった 当たり前なことをどれだけ丁寧に実行できるか で差が出てくるのではないかと思います。今一度自身の生活を振り返ってみましょう。

睡眠・運動・食事 ― 努力が続く人の3つの習慣

睡眠が努力の質を決める

睡眠は単なる休養の時間ではなく、日中に学んだことが長期記憶に定着する時間でもあります。睡眠を疎かにしてしまうと日中の学びの時間の効率が下がってしまうのはとてももったいないです。睡眠時間は質で量を補えないことが科学的にわかっています。まずはしっかりと時間は確保するようにしましょう。

オランダ神経科学研究所の分析では、5〜12歳の児童を対象とした研究がまとめられ、睡眠時間が長めの児童ほど認知機能の成績が良く、睡眠時間が短いと行動・認知の問題がやや多い傾向があると報告されています。このことから、子ども期において「睡眠時間が十分であること」が、学びの基盤を支える一助になりうると考えられます。

では、いったいどのくらい睡眠時間を確保したらいいのでしょう。アメリカの睡眠医学会によると、小学生は9〜12時間、中学・高校生は8〜10時間の睡眠時間を推奨しています。 ただ、人によって必要な睡眠時間は異なるため、わからない場合は一度自分の体で実験してみましょう。方法は簡単で、寝る時間、起きる時間を固定して1週間ほど過ごしてみて、日中の眠気や疲労度合いをもとに睡眠時間が足りているか判断してみましょう。

私自身、高校生の頃に何度か実験をしてみたところ、10時半から11時までの間に寝て6時に起きるのが最も日中のパフォーマンスが高くなると気づき、受験期は特に、どんな日でもそれを継続するよう心がけていました。

運動で脳が目を覚ます

適度な運動も効果的です。米イリノイ大学の研究によると、有酸素能力が高い子どもは、注意力・ワーキングメモリ・課題切り替えなど「認知制御機能」で他の子供に比べて優れた成績を示しました。また、数学や読解能力も高くなっていることから運動と数学や読解の学力向上との間に関連性がある可能性も明らかになっています。

加えて、運動習慣によって体力がついている人は集中力が持続する下地ができています。運動を通じて獲得した集中力に加えて、長時間の作業でも疲労に負けずに物事に取り組むことができるのも運動のメリットになります。

私自身、中高生の頃は運動部に所属して朝練を含め活動には積極的に参加していたほか、高校生の時は学校がある共通テスト前日まで昼休みには外に行って友達とバレーボールで遊んでいました。それが息抜きになり、午後からの授業を集中するためには効果的だったように感じています。

普段あまり運動をしない人も、肩肘を張って負荷の高い筋トレや長い時間ランニングをする必要はありません。ストレッチやラジオ体操のように短時間でできる軽い運動でもOKです。

食べることは、考える力を育てること

勉強を頑張るうえで、見落とされがちなのが「食事」です。体も脳も、毎日食べたもので作られています。どんなに良い勉強法を知っていても、エネルギーのもとが整っていなければ、集中力は続きません。

アメリカ疾病予防管理センター(CDC)の報告によると、米国の高校生の食事行動(野菜・果物摂取、清涼飲料の摂取、朝食をとるかどうかなど)と学業成績との間に有意な関連が確認されており、健康的な食行動をとる生徒ほど高い評定を得る傾向があったとしています。

バランスの良い食事を心がけることは、単に「健康のため」ではなく、「思考力と継続力を支える土台」 をつくることにつながります。特に炭水化物・たんぱく質・野菜をバランスよく摂ることで、勉強中の集中力の波が安定し、眠気やだるさも減っていきます。

そして、ここには保護者の方の力も欠かせません。子どもが自分だけで食事を用意・管理するのは難しいからこそ、「夜は軽めにして朝をしっかり」「お菓子の代わりに果物を」など、家庭の小さな工夫が「努力が続く体」を支えてくれます。私の家庭でも、思い返すと幼少期からお菓子などの間食、ジャンクフードをはじめとする外食は少なく、母が品目が多くバランスのとれた食事を作ってくれたことが自身が病気にほとんどならずに健康でいられた大きな要因ではないかと考えています。

勉強のやる気は、食卓からも育つ。そんな意識で毎日の食事を整えることが、生活習慣を安定させ、「今日もやってみよう」と思えるエネルギーにつながります。

やる気ではなく、習慣で勉強を続ける

「やろうと思っても、やる気が出ない......」
そう感じたことのある人は多いと思います。でも、努力や根性を前提にした苦しい継続は、長くは続きません。勉強を続けるうえで本当に大切なのは、やる気をコントロールすることではなく、習慣をコントロールすることです。

やる気をコントロールすることではなく、習慣をコントロールすること

人は「始めよう」と意識した瞬間にエネルギーを使います。つまり、勉強をするかどうかを毎回考えている時点で、すでに疲れてしまっているのです。逆に、決まった時間・決まった場所で行動するようにしておけば、脳が「このタイミング=勉強」と自動的に切り替わるようになります。

たとえば、「夜ご飯の後に30分」「朝7時に机に座る」「放課後は自習室へ直行」など、勉強する時間と場所を固定するだけで、やる気を使わずにスイッチが入るようになります。最初は5分でも構いません。短い時間でも「始めた」という経験を積み重ねることで、脳が「勉強=日常の一部」と認識し、自然と集中できる状態ができていきます。

大切なのは、「頑張って続ける」ことではなく、 「勉強を続けられる環境を作る」 ことです。勉強机の上を整える、スマホを別の部屋に置く、同じ音楽をかける...
そうした小さなきっかけを日々積み重ねると、「そろそろ勉強しようか」と考えるより先に、体が動くようになります。

やる気は波があるものですが、習慣は波を受けにくいものです。 時間と環境を味方につければ、勉強は頑張るものから自然に続くものへと変わっていきます。

明日から試せる実践例①:開始時間と終了時間を決める

勉強をする時に、「あと問題集3ページ」のような分量の設定をして、それを終わらせるのに想定よりもずっと多く時間がかかってしまったことはありませんか?量だけで見るよりもそれに取り組む時間を意識することが大切です。教育心理学の研究によって、区切りを時間で予め決めることが疲労や注意散漫を防ぐために有効という示唆が明らかになっています。

量だけで見るよりもそれに取り組む時間を意識すること

途中でも、時間になったら切り上げる。「この時間になったらこれをする」この繰り返しが習慣になっていき、無理なく継続することに繋がっていきます。また、実際の試験もここまでやったら終了というものではなく制限時間が設けられています。日頃から制限時間を気にしながら問題に取り組むことは試験本番を想定したいい訓練にもなります。

明日から試せる実践例②:1日のスケジュールをつくる

あなたは自分が1日をどんなスケジュールで過ごしているか決めていますか?私は朝ご飯を何から食べるのか、家から出て自転車を出す動きまで毎日同じように繰り返していました。親や自身の性格的なところもありますが、同じことを繰り返すことが好きな方には特におすすめです。

自然に体が勉強モードに切り替わるようになると無理なく継続することができます。

以下に例ですが、私自身の受験期の1日のスケジュールと以下のようなことを考えながら設定したのかを載せてみました。(もちろん実際は適度に休憩なども挟みながらですが)

どう過ごすと自分にとって一番良いのかは個人差があるので一参考程度に見ていただけたらと思います。

  • 1日のこの時間帯で何を勉強するのかを大体決めて毎日同じサイクルを回す
  • 寝る前と起きた直後の記憶に定着させやすい時間に暗記科目の復習
  • 夜の長い時間集中できる時間帯では数学などの「重い」科目に積極的に取り組む
  • 目安の時間で区切って終わらなかったりしても切り上げ、翌日に回す

筆者の1日のスケジュール

「勉強しなさい」よりも大切な、保護者のサポートとは?

子どもが集中できる環境を保つこと。 それが私自身の経験上、保護者にしてもらって最も感謝しているサポートの1つだと思っています。勉強は本人の努力によってしか積み重ねられませんが、その努力を続けられるかどうかは、周りの環境に大きく左右されます。

家庭の空気

まず見直したいのは、家庭の空気です。リビングが落ち着いていて、親が穏やかに過ごしているだけで、子どもは安心して集中できるようになります。「家庭=安心できる場所」であることが、日々のやる気や継続力の土台になります。

次に、保護者自身の生活習慣を整えることも重要です。夜遅くまでスマホを見たり、食事の時間が不規則だったりすると、家庭全体のリズムが乱れ、子どももそれに引きずられます。親が自分の生活を整える姿を見せることこそ、自然と習慣を作る第一歩です。

一方で、やらない方がいいこともあると思います。「勉強しなさい!」と繰り返したり、義務感で机に向かわせようとすることです。 それは一時的に動かす力にはなっても、長くは続きません。子どもが「やらされている」と感じると、勉強が嫌なこととして記憶に残ってしまいます。私自身、勉強を全く強制されなかった環境だったからこそ無理なく続けることができたと思っています。

保護者がするべきことは、頑張れと無理やり背中を押すことではなく、「落ち着いて頑張れる環境を守ること」 だと考えます。家庭の空気を整え、自身も規則正しい生活を送る。その姿勢こそが、子どもの集中力と自立心を静かに育てていきます。

まとめ:続ける力は、毎日の習慣から生まれる

まとめると、

  • まずは自分自身が長期的に努力できる状態を保つことが重要だと認識する
  • 睡眠・運動・食事をはじめとした他の人から見えない生活習慣を大切にする
  • やる気ではなく、習慣をコントロールする
  • 保護者ができることの1つとして「子どもが集中できる環境を保つこと」がある

特に生活習慣に関することは、聞いたことのあることばかりで案外拍子抜けした人もいるかもしれません。でも、裏を返せば今日から実践できることばかりだということです。こういった見えない部分で差がついているということが往々にしてあるのではないでしょうか。勉強のコツを血眼になって探すより、まず毎日の過ごし方を見返すことから始めてみてください。

生活習慣の下地ができたら、次は勉強法にフォーカスしたこちらを読んで実践してみるのもいいかもしれません。ぜひ参考にしてみてください!

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ハイストのデザイン担当、えんざんです!
歴史やデザインを通じてやさしい世界をつくるのが目標です!

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