
渋渋(渋谷教育学園渋谷)ってどんな学校? ~卒業生による体験談~ 【前編】
前回の灘に続く、学校紹介記事第2弾となります。紹介するのは、渋谷教育学園渋谷中学・高等学校です。
実のところ筆者含めハイストメンバーのおよそ3分の1が渋渋出身ということで書きたいことが多く多少長くなってしまいましたが、どうかお付き合いください。
「自調自考」の精神
渋谷教育学園系列の学校を語る上で欠かせないのが「自調自考」の精神です。文字通り「自ら調べ、考える」この能力は、テストの点数のように数値化できないものなので、実際客観的にどの程度成功しているかはわかりませんが、卒業生の多くはそういった「癖」がついているように思います。
ハイストメンバーに渋渋生が多いのも、「新しいことを自分でやってみる」「そのために必要なことを自らの手足で掴みに行く」という精神が育まれた結果なのかもしれません。
渋渋生は、最終的に大学でいうところの卒業論文のような、自調自考論文というものを書きます。テーマはかなり自由度が高く、人によっては実験をしたり、データを集めるために海外まで行ったりと約1年をかけて書きあげます。具体的に何字書いたかは忘れてしまいましたが、その時点で、人生で一番長く書いた文章だったと思います。良い経験でした。
学園長講話
さらに、大きな特徴として、「学園長講話」(以前は「校長講話」と呼ばれていましたが、田村哲夫先生の校長退任により名称変更)というものがあります。これは、渋谷教育学園の学園長である田村哲夫先生による授業のようなものであり、「シナプス」、「メタ認知」、「自己認識」、「語学の天才シュリーマンの話」、「真似る→まねぶ→学ぶ」といった、教養的なことが中心の内容です。
個人的には、シュリーマンの話(音読によって語学は習得できる)と、「真似る→まねぶ→学ぶ」の話(何か新しいことをやろうと思ったら、まずは上手くいっている人のやり方を真似することこそが学びの第一歩)が印象に残っています。
英語教育
「渋渋といえば英語」といったイメージを持っている方も多いのではないでしょうか。
実際、渋渋はSGH(スーパーグローバルハイスクール、現在は制度自体が終了)に指定されていたほど英語教育に力を入れており、帰国子女も非常に多いという特徴があります。
1月の帰国生入試で入学した帰国生の中には日本語よりも英語の方が得意という人も珍しくなく、廊下では常に英語が飛び交っている状態でした。
また、一般受験で入ったけど英語の話せるいわゆる「隠れ帰国」も多く、各クラス3~5人くらいはいました。そういった人たちのためにはANというクラスがあり、中学3年次から英語の時間には一般の生徒とは別にネイティブの先生らとハイレベルな授業を受けることが可能です。
実際、模擬国連部と英語ディベート部の実績は凄まじいです。長期休みの後は毎回全国優勝か世界大会優勝を果たして帰ってきていました。
なお、留学にも寛容で、留学しても、もともといた学年に戻ってくることが可能です。一般的な学校だと進度の違いから1年下の学年に戻ることになることが多いらしいので、これは結構特殊だと思います。
進学実績・受験関連
このような英語環境なので、海外大進学者はかなり多いです。
毎年20名前後が海外大に合格しています。
さらに、進学実績・偏差値は近年右肩上がりで、後輩がどんどん優秀になっていく状況に上級生が恐れおののいていたのが印象的です。2022年からは鉄緑会の指定校にもなっているようです。
また、2025年は東京大学に50人が合格しています。1学年の人数が200人くらいだということを考慮すると、合格率という観点では、最難関校にも劣らないのではないでしょうか。
そんな渋渋ですが、中学受験の形態は少し特殊です。
まず1月に帰国生入試があります。帰国生入試の中にもいわゆる「帰国枠」と「作文枠」があり、海外経験はあるけどネイティブほどではない、といった人が作文(日本語)で受験する印象です。クラスも帰国枠の人たちは1組か2組(例年全6組、1・2組も半分以上は一般生)に振り分けられますが、作文の人たちは一般生と同様の扱いをされます。
その後、2月1日、2日、5日に一般受験があります。進学校としては珍しく受験日が多いのが特徴です。私が受験をした当時は2月1日に第一志望校を受けた人が集まる2日と、駆け込みで受ける人が増える5日の倍率が高くなっていた印象でしたが、現在では2月1日も男子は開成、女子は桜陰に次いで2番目に高い偏差値となっています。
系列校の渋幕にも共通することですが問題の内容もなかなかに個性的で、算数では作図問題が出されたり、理社でも暗記というよりかは読解力、思考力を問う問題が多い気がします。渋幕の入試で「アジの開きは次のうちどれか」といったニュアンスの問題が出て驚いたのを今でも覚えています。
渋幕と違って渋渋に高校入試はないのでそこは注意するポイントです。ただ毎年転勤などで転入してくる人は数人います。
学校の雰囲気
進学校あるあるかもしれませんが、校風はかなり自由です。スマホの使用も自由でなんなら授業中にスマホを使って調べ物をすることもよくありました。休み時間にDSなどゲーム機で遊んでいる人もいましたが、あくまで休み時間だけで授業中とのメリハリはつけられていたように感じます。
同級生仲は比較的よく、よく共学にある男女間の対立のようなものもあまりなかったように感じます。
帰国生含め幅広いルーツや個性を持った生徒が集まる学校なので、他者との違いに寛容になりやすい部分はあるのかもしれません。
1階ロビーには田村哲夫学園長の銅像が立っており、ハロウィンやクリスマスには何かしらの仮装がなされています。生徒は学園長のことを親しみを込めて「たむてつ」と呼んでおり、生徒との距離の近さが見て取れます。
渋谷に位置する学校ということで治安を気にする方もいると思いますが、位置しているのはセンター街方面ではなく明治神宮前駅との中間地点、明治通りから1本入ったところなので特に治安の悪さを感じたことはありません。6年も通うので、渋谷の印象は以前の「若者の街」という印象から「ただの通学路・庭」という印象に変わってしまいました。ただハロウィンの日は普段よりも下校時刻が早まるなんてこともあります。
まとめ
ここまで、渋渋の校風や英語教育、受験関連の情報について書いてきました。
10月6日更新の次記事では、校内設備や行事等について書きたいと思います。
それでは、また次の記事でお会いしましょう!

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