放課後のハイスト
ためになる確率

ためになる確率

投稿日: 2025年01月09日
最終更新日: 2025年01月09日
RopiRopi

確率がかかわることは、我々の身の回りにたくさん存在しています。例えば、くじ引きをやっているところは様々なところでありますし、宝くじも当たり前のように売っています。また、人生ゲームなどのすごろくのゲームではさいころやそれに相当するものなどを使ってゲームをしますし、降水確率などはを用いて表現されます。

一方、確率はしばしば人間の直観に反するようになります。今回は、そんな確率のあるあるネタを33つほど紹介したいと思います。

2択だと50%???

しばしば、「A\mathrm{A}B\mathrm{B}かの2択だから確率はそれぞれ22分の11だ!」というような主張をされることがあります。例えば、「株は基本上がるか下がるかの2択だから、勝率は22分の11!」みたいなやつです。しかし、はたして本当にそうなるのでしょうか?

A\mathrm{A}B\mathrm{B}かの22択の例として、一般的な11から66まで目のあるさいころで、11の目が出ることをA\mathrm{A}11以外の目が出ることをB\mathrm{B}としてみます。そう考えると、たしかに22択ではありますが、明らかにA\mathrm{A}となるかB\mathrm{B}となるかの確率は異なるでしょう。なぜならば、基本的にさいころの各面は対等で、確率が均等に分配されているため、それぞれの目が出る確率は16\frac{1}{6}となっているからです。したがって、A\mathrm{A}となる確率は16\frac{1}{6}B\mathrm{B}となる確率は116=561 - \frac{1}{6} = \frac{5}{6}となります。このように、2択であるからといって、確率がそれぞれ2分の1とは限りません。なお、実際に「22択だから22分の11」となるのは、さいころであれば「奇数が出るか偶数が出るか」、コイントスであれば「表が出るか裏が出るか」などの、かなり特殊なケースのみです。

したがって、誰かに「22択だから22分の11!」というようなことを言われたら、

100100面のさいころで11が出たら君の勝ち。11以外が出たら私の勝ち。そういうルールで勝負しよう。」

と提案してあげましょう。そうすれば、確率が選択肢の数だけで決まるわけではないことを理解してもらえるはずです。

順番で確率は変わる?変わらない?

1010本中33本が当たりのくじを、1010人が1人1回ずつ引く状況を考えてみましょう。このとき、引く順番を自由に選べるとするならば、どのタイミングで引くのが良いと思いますか?

外れしか入っていないくじは引きたくないから、当たりが一番数的には残っている最初の方でしょうか?それとも、確率的には最初の方がはずれの確率は高いから後の方でしょうか?

実は、不思議な感じがしますが、この条件のときは、引いた人が何を引いたかを公開するか否かで、当たりを引く確率が変わります。

仮にあなたが88番目を選んだとして、11人目から77人目までの人が全員はずれだったことを知っているとしましょう。このとき、あなたが当たりを引く確率は100100%となります。逆に、それまでにすべての当たりが出ていれば、はずれを引く確率の方が100100%となってしまいます。しかし、そういった情報がなければ、残りの当たりとはずれの本数が確定している状態であっても、当たりが残っているか残っていないかはわかりません。よって、やや釈然としないですが、確率は最初と変わらないことになります。不思議ですね。

こういった、当たりを引いたかはずれを引いたかの情報によって変わった確率は、条件付確率というもので考えることになります。式で書くと、

PA(B)=P(AB)P(A)P_A(B) = \frac{P(A \cap B)}{P(A)}

となるやつのことです。上式は、一般に高校11年で習うことになると思います。結構ややこしいですが、こういった基本的な概念を理解できていれば、結構理解しやすいと思います。

ガチャは下手したら一生当たらない!?

有名な話ですが、欲しいキャラの確率が1%であったとしても、100回ガチャを引けば必ず当たるわけではありません。実際はもっと確率は低いです。ここでは、なぜそうなるかを解説します。

先ほどのくじの例では、引いた後引いたくじを戻さない、いわゆるボックスガチャ方式で考えていたわけですが、一般的なソシャゲのガチャでは引いた後くじを戻す方式がとられています。こういったことを専門用語では、「復元抽出」というそうです。

ボックスガチャ方式であれば、最悪すべてのくじを引ききれば、狙いのものは確実に引けるわけですが、一般的なガチャの方式だと、最悪「いくら引いても欲しいキャラが出ない」という状態になることがあります。これを考えるためには、余事象と呼ばれるものを考える必要があります。

まず、単発ガチャを引いた場合を考えてみましょう。そのとき、引ける確率は当然11%です。一方、こちらも当たり前ですが、引けない確率は引ける確率が11%なので引けない確率は9999%となります。以上のことを式で表すと、

P(引ける)=0.01P(\text{引ける}) = 0.01
P(引けない)=1P(引ける)=0.99P(\text{引けない}) = 1 - P(\text{引ける}) = 0.99

となります。この、引けない方のことを、今回の場合余事象といいます。

次に、22回以上引くと、その時点で単純には考えられなくなるわけですが、とりあえずわかりやすい1010連で考えてみます。このとき、

P(10回すべて失敗)=(0.99)10P(\text{10回すべて失敗}) = (0.99)^{10}
P(少なくとも1回成功)=1(0.99)10P(\text{少なくとも1回成功}) = 1 - (0.99)^{10}

という計算を行わなければなりません。だいぶ複雑になりました。なぜこのような計算を行わなければならないのかというと、10連のうち、当たりを複数引く可能性があるからです。いわゆる、「22枚抜き」、とか「33枚抜き」というやつです。要は、「1010連で当たりを引く」という状況の中に、「当たりを22枚以上引く」という状況も含まれているため、「当たりを11枚ちょうど引く」ということを考える際は余事象を考えないといけなくなります。したがって、nn回連続ではずし続ける確率は(0.99)n (0.99)^{n}であるのでこれが余事象となり、上記のような計算となります。ちなみに実際に計算すると、

P(少なくとも1回成功)=1(0.99)1010.904=0.096P(\text{少なくとも1回成功}) = 1 - (0.99)^{10}\approx1-0.904=0.096

となり、ほぼ1010%ではありますが、たしかにずれが生じます。さらに、100100連で考えてみると、100×0.01=1100 \times 0.01=1となり、確実に当たりそうに見えますが、

P(少なくとも1回成功)=1(0.99)10010.366=0.634P(\text{少なくとも1回成功}) = 1 - (0.99)^{100}\approx1-0.366=0.634

となり、当たる確率は約63.4%となります。大体、「さいころを1回ふって、11から44までのどれかが出る」くらいの確率でしょうか。結構外れますね。ただいずれにせよ、引けば引くほど確率が上がっていくことはたしかです。一方、運が悪ければ、何回引いても当たりが出ないということも十分にありえます。そこが、ボックスガチャ方式でない一般的なガチャの恐ろしいところです。

ソシャゲに課金するにしても節度を持って行いましょう。下手したら、いくら課金しても出ないのですから。

最後に

以上のように、くじのシステムや当たりが出たかの情報によって確率は変わってきます。

確率は直観に反することがよく起きるものです。特に、ソシャゲのガチャなどは、ある程度知識がないと想像以上に欲しいものが出ないということが十分に起こり得ます。確率がかかわるものと対峙する時は、一旦立ち止まって考えてみるようにしましょう。

逆に言えば、確率に関する理解を深めれば、日常生活でも物事を有利に進めることができます。実際、確率がかかわってくるゲームなどは非常に多いです。したがって、数学は日常生活でも役に立ちます。ぜひ数学を「受験勉強のために仕方なくやるもの」などととらえず、楽しんで学びましょう

ここまで読んでいただき、ありがとうございました。他の記事や、本家のハイストのカードゲームの方もよろしくお願いします。


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この記事を書いた人

Ropi
Ropi

「放課後のハイスト」ライター

物性物理学全般を勉強中です
『機動戦士Gundam GQuuuuuuX -Beginning-』を3回観てきました。文句なしの神映画でした。続きが非常に楽しみです。

よろしくお願いします

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